今だからこそ「デジタル資産」終活のススメ

キャリアコンサルタント
ファイナンシャル・プランナー
大久保名美

はじめに、私自身の体験から

一ヶ月前ほど、スマートフォンを新しい機種に買い換えました。その後スマホでとあるアプリケーション(以下アプリ)を起動させようとした時、どうやってもログインできなくなりました。どうやら機種変更をする前にあらかじめデータを移行すべきだったようで、他のアプリでも同じようなことが続き、アプリを削除し再度ダウンロードする羽目になりました。

その過程で何度かアプリのダウンロードサービス(App Store)のパスワードを間違えてしまい、変更することが続きました。何度も変更したのでパスワードを忘れないように手帳にメモしました。このように、お恥ずかしながら私は「デジタルをアナログで補う」管理作戦を未だに続けています。

皆さんはこのデジタル機器やサービスを利用する際の「ログインID(以下ID)」や「パスワード」をどう管理していますか?種類も多く多岐にわたりますね。その上セキュリティ対策のために定期的にパスワード変更も求められます。複数のIDやパスワードをまとめ、乗っ取りや不正利用を防ぐためにも、パスワード管理は大切です。

調べてみると世の中には「パスワード管理アプリ」(パスワードマネージャー)もいろんな種類があるようです。紙での管理ではなくアプリでの管理に切り替える人も多いようです。私も早急に切り替えなければと思っています。

さて、これは自分で行う管理の話ですが、これが家族や配偶者の立場になったらどうでしょうか?自分自身に万が一のことがあって、家族がIDやパスワードを調べる必要が出てきた時、探す糸口がないということが起こらないでしょうか?

画像の説明

増したデジタル資産管理の重要性

パソコンやデジタル家電の総合サポート事業を行っている、日本PCサービス株式会社のサイトによると、2021年8月に多かった遺族からの相談事例は以下のようなものだそうです。
(※2020年9月~2021年8月調べ)

[遺族からの相談事例数]
1位 パソコンのパスワード解除 246件
2位 パソコンを継承した後のトラブル対応 25件
3位 パソコンを継承した後の設定・レッスン 23件

具体的には、万が一の時故人のPCのパスワード解除ができずPC内の写真やデータを諦めたとか、完全にデータを削除しない状態で処分したため悪意のある第三者に利用された、というトラブルもあるそうです。

また、月額課金サービスの費用を死後も請求されて困ったとか、借用書やFX(外国為替証拠金取引:証拠金を業者に預託し、主に差金決済による通貨の売買を行なう)などの資産価値のある遺品が原因でトラブルに発展してしまったなど、予期せぬ自体も多く発生しているそうです。

これらの、故人が使用していたパソコンやスマートフォンの中にあるデータや情報を「デジタル遺品」と言います。 デジタル遺品がトラブルの引き金とならないよう、資産や重要情報を「生前」に整理し引き継ぐ準備をしておくことが重要になっていて、これが「デジタル資産の終活問題」と言われるものです。

つまり、デジタル技術やサービスが拡大してきている現代だからこその、新しい終活のテーマとも言えるのです。

(参考:日本PC株式会社のデジタル遺品サポートサービスのサイト
https://www.4900.co.jp/service/memento.php

確認しておきたい「デジタル資産」の範囲

では確認しておくべき「デジタル資産」の範囲はどうでしょうか?
以下に整理してみました。

[デジタル資産の範囲と確認しておきたい情報]

1 パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器
→メーカーや購入した時期、ログインパスワード、各種関連IDやパスワード(以下PW)

2 インターネット回線やプロバイダーなどの会員サービス
→インターネット開通時の契約書やIDとPW記載の資料、決済方法(キャリア決済や、カード情報など)

3 アプリケーションやソフト関連
→メール(Gmail、yahooメールなど)、ウイルス対策ソフト、Office系ソフトなどのIDとPW、決済方法

4 各種会員サービス
→アマゾンや楽天などの通販サービスや、Netflixなどの動画配信サービス、ニュースサービスなどのIDとPW、決済方法

5 金融サービス
→ネット銀行やネット証券、FX取引サイトなどのIDとPW、また取引PWなど。時価の確認方法や問い合わせ先情報など。ネット保険やiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などの証書やデータなど。

6 SNSやHP、ブログサービスなど
→Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSのアカウント。HPやアメブロなどのブログサービスと有料契約などの有無と決済方法。IDとPWなど。

7 その他写真・動画や資料、クラウドサービス内のデータなど
→PCやスマートフォンなどの内部のデータ。クラウドサービス利用の有無とIDとPW。有料サービスの有無と決済方法など。

いかがでしょうか?かなり多岐に渡りますね。他にもまだ該当する資産がありそうです。

使っていないものや不必要なものは削除する

今回情報を整理してみて、私自身、サービスを使わなくなっているのにアカウントをそのままにしているものが多数あることに気が付きました。アカウントを放置したままでいると、不正利用されたりするリスクもあるといいます。使っていないものは整理しアカウントそのものを削除していく必要があります。

また、万が一の際に家族に見られたくない情報をどうするかもリスク管理の一つとも言えます。ご本人が亡くなったなど、アカウントが一定期間以上ログインされない場合にアカウントそのものを自動に削除するサービスなども登場しています。昨今のコロナ禍の拡大で、自分だけは大丈夫とも言えなくなりました。そういった点でも、一度元気なうちに身辺を整理していく必要もありそうです。

今後もデジタル技術とサービスの進歩で、保有するデジタル資産が今以上に増えていくと予想されます。デジタル資産をきちんと管理し、万が一に備えておかなければなりません。不正利用のリスクだけではなく、自分自身の病気や怪我、認知機能の低下や死亡などで、家族や大切な人がデジタル資産の管理に困るリスクを避けなければなりません。

デジタル資産にも「エンディングノート」を活用する

デジタル資産を「困ったデジタル遺産」にしないために、今のうちにできることがあります。お勧めは「エンディングノート」の作成です。

エンディングノートは、もしものときに備えて自分の情報や想いを書き留めておくノートです。書店や文房具店などで色々なものが販売されているほか、無料で配布する自治体も増えているようです。手持ちのノートを使用しても問題ありません。エンディングノートを作成する重要な目的は、遺されたご家族に自分の情報を伝えて各種手続きをスムーズに行えるようにすることで、ご家族の負担を減らすことです。

最近の市販のエンディングノートは、デジタル資産の種類やID、PWなどの情報が記載できるようになっています。ぜひ一度手に取ってみていただきたいと思います。そして早めに取り掛かることをお勧めします。

自分と大切な人のために何を残すのかを決める

デジタル資産の終活の第一歩として、まずは自分自身のためにデジタル資産の整理に取り組んでみてください。そして、ご家族や大切な人のために、何を残して何を残さないのかを考えてみることが大事です。

よりよく生きるために、現代の私たちに大切なこと。
それは、デジタル資産を綺麗に残していくことです。

デジタルデータは、あなたが亡くなった後もデジタル空間に永遠に残っていくのです。

キャリアコンサルタント/ファイナンシャル・プランナー
生前整理アドバイザー2級
合同会社福々舎 代表 大久保名美

詳しいご相談は以下にてお待ちしております。
e-mail:hukubukusya@gmail.com
https://hukubukusya.jp

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