リスキリングによる能力向上支援
こんにちは、社会保険労務士の澤瀬です。
暑い夏がようやく終わり、めっきり涼しくなりました。朝方外に出ると、夜露で地面がしっとりと濡れているのがわかります。そろそろやる気スイッチが入ってもおかしくないのですが、こればかりは中々にしてはいらず、困ったなあと焦りだけが募っております。
と、ぼやきはこのぐらいにして、秋は学びの時期でもあります。本年6月に閣議決定された三位一体労働市場改革の第1の柱であるリスキリングによる能力向上支援のお話です。
三位一体の労働市場改革の指針(R5.5.16新しい資本主義実現会議)で示された基本的な考え方には
「働き方は大きく変化している。「キャリアは会社から与えられるもの」から「一人ひとりが自らのキャリアを選択する」時代となってきた。職務ごとに要求されるスキルを明らかにすることで、労働者が自分の意思でリ・スキリングを行え、職務を選択できる制度に移行していくことが重要である。」
とあります。企業が長期雇用の中で従業員を教育する時代から、個人の自律的主体的な学び・学び直しを国や企業が支援し、成長分野への労働移動を後押しする時代へと大きく舵をきっていることがわかります。
国が示した「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」には、労使が取り組むべき事項として次の学びのプロセスをあげ、学びにおける現場リーダーのマネジメント能力の向上にも言及しています。
① 能力・スキル等の明確化、学びの目標の共有
② 効果的な教育訓練プログラムや教育訓練機会の確保
③ 学びを後押しする伴走的な支援策の展開
④ 持続的なキャリア形成につながる学びの実践・評価
国の支援策もこの取り組むべき事項に対応しており、デジタル人材の能力評価基準やキャリアの棚卸し、オーダーメイドも含む訓練機会の確保やキャリア支援サポート体制の整備に力を入れています。
企業の教育を経済面から支援する「人材開発支援助成金」には、「人への投資促進コース」「事業展開等リスキリング支援コース」を加え、デジタル人材育成や事業展開やカーボンニュートラル対応への教育のほか、自発的能力開発への経済支援や長期休暇制度についても手厚い給付メニューを用意しております。
また、サブスクリプション型(定額制訓練)も助成対象となり、政府・民間の教育訓練機関においてサブスクリプション型の教育プログラムが多数開発されております。人手不足でまとまった教育時間のとれない中小企業にとっても取り組みやすいメニューではないでしょうか。隙間時間にいつでも受講できるサブスクリプション型訓練、是非試してみたいものです。
助成金の支給申請には1か月以上前に計画を提出する必要がありますので、経費確保のご相談は労働局の助成金窓口(岩手県はマリオス19階「助成金センター」)まで。
キャリアを自ら切り開く個人の実現と国の経済政策が、ようやく同じベクトルを向いてきたこの機会をうまく捉えたいものです。